表参道の通りに面して建っていた同潤会青山アパートは、大正15年に墨田区内に建てられた中之郷アパートと共に日本最初とほぼ言える鉄筋コンクリート造のアパート建築でした。
建築主体になった同潤会は、関東大震災の翌年に震災復興の目的で内務省に設立された財団法人で、今のUR都市機構(旧:住宅都市整備公団)の原型にあたります。
同潤会が目指したアパート建築は震災復興が目的とは言え、単なるアパートレベルではなく、最新の機能を備えた最新鋭のアパートを造ろうとしました。
また、アパート単体での完成度にとどまらず、アパート群全体でひとつの街の機能を備えることを目指していました。
その一番顕著な例が代官山のアパートでした。
こうして建てられた同潤会青山アパートは約80年機能して、2003年に取り壊して跡地にはご存知の商業施設と住宅を兼ね備えた「表参道ヒルズ」が誕生しています。
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03.3.8 渋谷区 神宮前 |
その青山アパートが最後の春を迎えようとしている時にじっくりと見に行きました。
同じようにカメラを持った人の姿も見えました。
同潤会の活動は、関東大震災で木造建築がで密集した市街地で大きな被害を受けたことから、不燃の鉄筋コンクリート造でアパート住宅を供給することが目的でした。
日本での鉄筋コンクリート造集合住宅としては最初期の建築群で、電気・都市ガス・水道・ダストシュート・水洗式便所など今では当たり前ながら当時としては最先端の近代的な設備を備えていました。
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表参道の歩道から見た青山アパート。
末期はその立地から住宅用途ではなく商業店舗として多くが使われるようになっていました。
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中庭から見たアパート群。
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道路に面していない建物にはコンパクトなものもありました。
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味のある緑の窓周りの造作。
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エントランス部分。
開き戸や欄干なども凝った造りになっています。
表札入れもタイムスリップ感満載です。
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03.3.8 渋谷区 神宮前 |
居室玄関扉。
微妙に角度が付いていました。
扉の意匠も凝っています。
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03.3.8 渋谷区 神宮前 |
表参道の歩道橋から見た青山アパート。
現在の表参道ヒルズには青山アパートのうち1棟がこの形を復元して建てられており、今もその当時の雰囲気が垣間見れます。